聞き取り調査(第二回)

長谷川時計店(昭和3年3月創業)633-5515

11月10日16時〜17時

長谷川正さん(副理事)

目的:商店街内部の協力(集まりや活動)の実態を知る

   まちづくりとしての商店街への考え方

※論文に実名で載せても良い

 

1)創業して何年ですか。何代目ですか。

76年 3代目

2)店を継ぐ後継者はいますか。

いる

 

3)自分の店と商店街の関係はどのようなものがありますか。

組合に参加しているか(総会、理事会)、イベントなどの時の協力・参加はあるか、半官半民の団体(宇都宮商店街連盟や宇都宮まちづくり推進機構)の行う講習会や勉強会に参加するか、など

商店街連盟には加盟、参画

宇都宮まちづくり推進機構 他の理事が参加

理事会の中でそれぞれが担当を決めて情報収集→その後理事会で報告会、情報の統一

イベントなども担当を決めて行っているが、副理事という立場上、全部に関わっているといっていい

 

4)まちづくりには興味はありますか。

興味はある

 

5)何らかのまちづくりに関する集まり、団体に参加していますか。それはどのような団体ですか。

6)参加している人は、今までに関わったり、協力したりしたことについてお聞かせください。

昔参加していた。宇都宮商業近代化計画、TMO協議会

その内容は実行的なものではなく、計画や話し合いの場になってしまっている。10年に1度の間隔でこのような会議が開かれているが、話されている内容にはあまり変化が見られなく、問題の根本は30年経った今でも解決されていないのではないか。

 

 

7)まちづくりと商店街活性化にはどのような関係があると思いますか。

道路・駐車場の整備など周辺環境の面

行政が打ち出すまちづくりでの商店街活性化は難しい。理由)実践的ではない、机上のプランが多くなってしまう。道路整備などは年月が多くかかり、今すぐに状況が変化するということではないので、結局気持ちがついていかない。勉強会などでもコンサルタントを呼んだりはするが、そのコンサルタントの理想の話になってしまう。先ほども行ったように根本的な解決にはつながっていかない。

 

  商店街の将来について人々の意識の面

商店街の人々の意見を求めて、一同に会して意見しあって希望や不満を共通化したら、商店街としてのまちづくりにつながると思うが、現実的には、みんなが一堂に会することはほとんどなく、意識の統一は難しいといえる。

ハード面だけの整備では、今までの郊外の大型ショッピングセンターの進出を見ると到底間に合わない。

だからこそ、意識面のソフト面が重要になってくる。もともと商店街というものは、自然発生的な街の始まりであり、そこから文化が生まれ、育ち、外部に発信するというのが、本来の流れである。大型ショッピングセンターの登場でそのような流れが無視され、物の売買だけ、利益のあるなしだけが重要視されるようになってきた。しかし、文化的なつながりや育つ場所というものは大切であり、その面でオリオン通りは貢献してきたといえる。(ジャズなど)そういったソフト面は、商店街の特徴として認識され、アピールされるところであるはずだ。

 

8)今、中心市街地は空洞化しているといわれていますが、実際にはどう思われますか。

9)空洞化しているとするならば、何が原因と思いますか。

売上は全体的に下がっている。需要がないこと、日本の経済低下、大型ショッピングセンターが点在していることなどが理由としてあげられる。

その他の理由としてあげられるのは、人々の意識であるだろうか。

各個店の売上を上げるにはどうしたら良いか、それは商店街の問題ではなく、やはり各個店の問題としてその店が経営をどうしたら良いかということになってしまう。だから、会合にきても意味がないと思い、金のかかるイベントは敬遠しがちになってしまうのだろう。テナントに入っている店の店長などは本店の意向や決済証明、自分の店舗の売上など、個人で決められる権限が少ないことなどもあり、やはり会合などには参加してこない。

 

10)       大形店の進退によって商店街全体の雰囲気や賑わいが変化していると思いますか。

変化している。大型店の食品売り場が重要になる。食品は毎日必要なもの、毎日買い物に来てその後に商店街の中をブラブラする時に必要だと思う。しかし、商店街の中の食品を扱っている店舗は厳しい。長崎屋によって少し取り戻した。

 

11)       商店街の雰囲気は昔と変わりましたか。どのように変わりましたか。

人の変化はある。昔は市街地から中高年がやってきて、身の回りの最寄品、肌着などが売れていた。

現在→若い人の通行量が多い。休みの日、小学生・20代・50過ぎの人たちが多い。ファッション衣料などが良く売れる。

 

12)       今後、もとの賑わいを取り戻したいと思いますか。

変化に対応していこうとするか

個々の店舗の対応に任せるしかない、個店の努力(品揃えや対応・ソフトの面)

商店会→いかに人を集めるか、個店→その人たちをいかに引き込むか

 

13)       取り戻すためには何が必要と思いますか。

今の段階で商店街全体を良くしようという考えは浸透しているか

個店の努力はしているだろう。しかし、それが商店街全体のために動いているのではなく、そのような考えはまだ浸透していない。言い換えれば、自分勝手な店、自分の店しか考えてない店が多い。また、テナントと自店の違いというものもある。やる気がないとうわけではないが、力を入れるところが変わってしまう。本社との関係、売上、商店街全体の活動とは別のところであるだろう。

 

14)       最近、商店街がもとの賑わいを取り戻したという他の地域の代表的な例は知っていますか。

知っている。先進商店街視察は行く。商工会議所から、変わったイベントなどの情報などが入ってきたら、視察に行って目で見て感じてくる。そのことにより個々の意識は変化してくる。その案を自分のところ(オリオン通り)で取り入れるかを話し合いしている。アーケードを作るときも視察にたくさん行って熟考した。

 

15)       そういったことを話し合う相手はいますか。

深く話す相手はあまりいない。やはり、立場が違う者同士深く込み入った話は出来ない。まず、集まりに参加する人が集まらない。理事会においても来られない人もいる。

しかし、集まるときは集まる。会費を上げるというと集まる(5% 600〜1000円)。あと、お金がかからないもの、忘年会無料の時はある。そのような時に話す話題は、アーケードが暗い、夜が物騒、スケボーのやつらが…、などと言う不平不満になってしまい、商店街全体の話にならない。まちづくりについての話題をそのような時にしてくれという要望もあるが、酒が入っているときに話すのは良くないと思う。

 

お酒が入らない席での無料の集まりは開かれることはあるのか

理事会ですら都合を合わせられない人がいるのに、人が集まるとは思えない。自分の都合が悪いことが起きた時は協力を仰ぐが、それ以外の時には顔も出さない人も多いので開かれることはないだろう。

 

16)       宇都宮の商店街には何が必要で何が足りないと思いますか。

意思統一。

全体として動くことがなかなか難しい。みんなが同じ方向を向くということは、それぞれの売上が伸びることに尽きる。上から下へのコントロールというものがないので、一つとして動くことが困難になる。横同士のコントロールというものは理事会だけでできるものではない。

理事会としては、みんなの意見を聞いてみんなの商店街にしていきたいという思いがあるがその思いがなかなか浸透しない。集まりに出ないのに、理事会は何をやっているのだ、何とかしてくれないのか、という意見が出るのは全体としてみる商店街の視点が浸透していない証拠である。誰かが何とかしてくれるという意識が拭いされないのが現状。

イベントなど、一斉に動き出すことが出来ない。商店街が一つとなってまとまっていないので、それぞれの利害が一致しなく、参加する店にむらが出てしまう。自分の利になることはするが、マイナスになることはしないのが商人の性である。イベントをやることは商店街としてはプラスだが、それが個店の利益につながるかどうかははっきりしないので、金は出したくないという人が多い。だから、理事会中心に動くことが多く、意識の面でも差が出てしまっている。イベントをやったという事実は残るが、それが継続したり、商店街の目玉となったり、利益が個店に還元されたりすることはめったにない。